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生態系保全マニュアル>生物生息地域

生物生息地域

 各地域における、自然(生態系)の特徴を表す場所として、以下の38箇所を紹介します。自然観察など野外活動の参考にしてください。 →参考文献はこちら

 

生物生息地
地域区分 生物生息地名 特徴
東部丘陵地域 吉祥山
吉祥山は、豊橋市の北部、新城市との境界にある標高382mの里山です。
北尾根には、山名の由来となった吉祥天女のほこらがあります。
「吉祥山市民ふれあいの森」として、登山道と休憩所などが整備されており、手ごろなハイキングコースとなっています。
愛知県内では貴重な角閃石片岩(かくせんせきへんがん)の地質で構成されていることや北尾根周辺の植生が当該地域の自然植生を表していることにより愛知県の自然環境保全地域に指定されています。
賀茂神社
賀茂神社は、古い歴史を持つ神社で、県指定有形文化財の本殿をはじめ様々な文化財があります。
神社の入口には賀茂しょうぶ園があり、神社境内には針葉樹と照葉樹からなる鎮守の森があります。
石巻西川・カタクリ山
石巻西川は、弓張山地から豊川に向かうなだらかな段丘の途中にあり、平地には柿畑が広がっています。
城山は、戦国時代の西川城跡として知られていますが、北斜面の雑木林近くにカタクリが植えられているため、カタクリ山とも呼ばれています。
城山(カタクリ山)横にある大福寺の境内には、「五色椿」とよばれるツバキの古木があります。
石巻中山・中山峠
 中山峠は、豊橋自然歩道本線の北端にある、標高は約370mの峠で、ここから石巻中山町・石巻萩平町にかけて緩やかな扇状地になっています。
中山峠周辺には、市域では珍しいモミの原生林があります。
平地には柿畑があり、山の斜面にはアカマツやコナラの雑木林が発達し、里地里山の風景が形成されています。
正宗寺
正宗寺は、嵩山の地名の由来となった古い歴史を持つ寺院で、国指定重要文化財の旧方丈障壁画をはじめ様々な文化財があります。
正宗寺は三方を山に囲まれた南向きの谷に位置し、境内は豊かな緑に囲まれています。
正宗寺の裏山は、スギやヒノキの植林地です。
南側では、幹線道路沿いに宅地化が進んでいます。
 嵩山町長彦・長彦川
嵩山町の長彦地区は、三方を山に囲まれ、長彦川沿いに細長く広がる水田地帯です。
周辺の山々は、主にスギとヒノキの植林で、一部にコナラなどの雑木林があります。
豊橋自然歩道支線の長彦自然歩道を登ると、弓張山地の大知波峠にいたり、南東に浜名湖を見ることができます。
嵩山蛇穴
(浅間神社周辺)
嵩山は、本坂峠を越えて静岡県の三ケ日とを結ぶ街道(通称 姫街道)が通じている交通の要衝で、古くは宿場町として栄えました。
嵩山蛇穴は、奥行きが70mほどの大きな鍾乳洞で、縄文時代の洞くつ遺跡として国の史跡に指定されています。蛇穴という名前の由来は、大蛇が住んでいたからといわれてます。
蛇穴周辺の地形は石灰岩地質で、新穴や水穴などの鍾乳洞があり、石灰岩地独特の植物が育生しています。
浅間神社は、頭浅間(大山浅間社)、腹浅間(原川社)、足浅間(富士社)の総称で、古い歴史を持つ神社です。それぞれの神社境内には鎮守の森として保存された樹林が多くあります。
 石巻山周辺
石巻山は標高358m、独特の姿から古くから信仰の対象とされてきた山です。
山頂付近は、石灰岩の巨岩が露出する険しい地形となっており、石灰岩地特有の植物・動物が多く見られます。このため、不動堂より上部の地域は「石巻山石灰岩地植物群落」として国の天然記念物に指定されています。
山の中腹には、石巻神社山上社が鎮座し、豊橋市石巻自然科学資料館や観光旅館などの施設があります。
石巻山の南山麓には、豊川用水のため池である三ツ口池があり、周辺でタカ類の飛翔を見ることがあります。
石巻山から尾根伝いに弓張山地に出て南下すると、イヌツゲ群生地があります。
朝倉川上流地域
朝倉川は、多米峠付近を源流域とし、市街地を流れ沖野で豊川に合流する河川です。川の大半はコンクリート護岸に覆われていますが、植生が回復している所もあります。
多米峠から朝倉川沿いに西へ谷が開けて、滝ノ谷池付近の山麓部では里山の風景を見ることができます。
多米峠付近は、スギやヒノキの植林が多く、一部にコナラなどの雑木林があります。
朝倉川の上流部には、NPO法人朝倉川育水フォーラムが整備・管理している滝ノ谷ビオトープがあり、自然再生の取組が進められています。
赤岩寺
赤岩寺は、赤岩山のふもとにある古い歴史を持つ寺院で、国指定重要文化財の木造愛染明王坐像をはじめ様々な文化財があります。
赤岩寺奥の赤岩山には、チャートの大きな岩壁があり、赤岩の地名の由来となりました。
赤岩山は弓張山地の一部で、アカマツやコナラを中心とした雑木林の里山です。
普門寺
普門寺は、古い歴史を持つ寺院で、国指定重要文化財の木造阿弥陀如来坐像をはじめ様々な文化財があります。
三方をスギやヒノキの山林に囲まれ、南側の平地には水田が広がっています。
普門寺の境内はモミジが多く植えられ、紅葉の時期には、多くの人でにぎわいます。
手洗池・両止池
手洗池・両止池は、葦毛湿原から北東方向の山の尾根を越えた谷の奥部に位置する農業用ため池です。
かつて、ここの池の周辺には、モウセンゴケなど葦毛湿原と共通する湿原植生がありましたが、遷移や周辺の環境変化により消滅しました。
今日でも、池の背後に発達したハンノキの林に湿地の名残りを見ることができます。
葦毛湿原
葦毛湿原は、弓張山地に三方を囲まれた標高70m前後の緩やかな傾斜地に広がる湧水湿地です。
湿原の面積は約3.2haで、湧水湿地としては国内最大級の広さを誇ります。
分布が東海地方にほぼ限られる植物(周伊勢湾要素植物といいます)や寒冷地性の植物など学術的に貴重な種が数多く生育していることから愛知県の天然記念物に指定されています。
市街地近郊にある身近な湿原として、春と秋の開花のシーズンには数多くの市民が訪れます。
三太郎池
三太郎池は、葦毛湿原の西側、山のふもとのコナラを中心とした雑木林の中にある農業用のため池です。
水辺は、ヨシやガマが生え、葦毛湿原と共通する湿原植物も生育し、貴重な湿原となっています。
三太郎池には多くの種類のトンボが生息し、周辺の雑木林には里山の鳥類が生息しています。
岩崎地域ため池群
(宮前・利兵・影岩・上庄)
 岩崎町の里山と平地の水田地帯の境目に、東西に宮前池、利兵池、影岩池、上庄池の4つの農業用ため池がつながってあります。
この4つの池のうち、宮前池と利兵池は公園的な整備が施されており、ため池の自然観察に適しています。
特に利兵池は水辺にヨシやガマなどが生育し、周辺にはハンノキやコナラの雑木林があるなど豊かな自然が残されています。
岩屋緑地
岩屋緑地は、大蔵山を中心として市民が自然に親しむために整備された公園で、頂上の展望台からは市街地一円を見渡すことができます。
岩屋山は、山頂に岩屋観音として観音像が安置されているチャートの岩山で、浅い洞くつなどの変化のある地形を観察することができます。
岩屋緑地の上空は、タカ類などの渡り鳥のルートとなっています。
地域区分 生物生息地名 特徴
.豊川沿川地域 豊川中流域
(賀茂橋から当古橋まで)
賀茂橋から当古橋にかけては、豊橋市域ではもっとも上流に近い地域にあたります。
広い河川敷に大きな河畔林(かはんりん)があります。
下条・豊川放水路
 下条は、豊川の蛇行部分にあたり、広い河原と大きな河畔林(かはんりん)があり、平野部には水田が広がっています。
下条付近から下流は三河湾の干満の影響を受け、真水と海水の混じる汽水域となります。そのため、鳥類や魚類については淡水域を好む種と海水域を好む種が混生する形となっています。
豊川放水路は洪水対策として掘削された人工河川です。水量が少なくコンクリートの河川床が見える時期もあります。
コンクリート河床の上にたまった土砂の上にヨシなどが茂り、冬には多くのカモ類が集まります。
沖野・金色島
沖野は、豊川と朝倉川の合流部にあたり、低地が広がり豊川に沿って河畔林(かはんりん)があります。河畔林から内側の平野部には畑がひろがっています。
金色島は、豊川の蛇行部に土砂が堆積して陸地状になった場所で、地名は「島」ですが陸続きです。
三河湾の干満の影響を大きく受け、干潮時には、中洲や砂浜が現れます。
豊川下流域
(吉田大橋から豊川橋まで)
豊川の下流域、吉田大橋から豊川橋にかけては、市街地の中を流れ、川幅が広く、水量が豊かです。
三河湾の干満の影響を大きく受け、干潮時には中洲が現れるところがあります。
地域区分 生物生息地名 特徴
中心市街地域 豊橋公園
吉田城跡に位置する歴史と文化のある公園で、園内には、美術博物館や野球場、陸上競技場などのスポーツ施設があり、多くの市民に親しまれています。
公園内には、マツやエノキをはじめ数多くの樹木があります。
市街地にありますが、豊川に隣接し、樹木が豊かであることから、一年を通して多くの種類の鳥類が生息しています。
サクラの開花時期には、春まつりが開かれます。
向山大池
向山大池は、吉田城築城の際に作られた広さ約40,000uの人工のため池です。
向山緑地公園の中にあり、池には橋が架かり周囲には遊歩道が整備され、ツツジなどの樹木が植えられています。
ヨシが植栽されたり、浄化施設により水質の浄化が図られています。
柱大池・なまず池
柱大池、なまず池は、市街地に残された農業用のため池です。
なまず池は、柱第二公園として整備され、池辺にはヨシなどが植えられ、池の周りを散策できるようになっています。
柱大池は、水草が豊かで、数多くのトンボを見ることができます。
長三池(幸公園)
長三池は、市街地に残された農業用のため池です。
長三池は幸公園として整備され、池には橋が架かり周囲には遊歩道が整備されています。
池から流れ出る長三川と池の間にある湿地帯は、ナガバノイシモチソウ自生地として市が天然記念物に指定し、フェンスで囲い保護しています。
高師緑地
高師緑地は、旧陸軍の高師原演習場を公園として整備した場所で、クロマツ群落の中の芝生広場、野球場や馬場などがあり、市民に親しまれています。
市街地の中にあり、樹齢80年を超えるクロマツの大木が多くある緑豊かな公園です。
高師小僧
高師小僧とは、管状、樹枝状等さまざまな形をした褐鉄鉱のかたまりです。
この高師小僧の代表地として西幸町の高師台中学校校庭南側の一部と浜池公園が県天然記念物指定地となっています。
周辺は宅地化が進み、高師小僧を見つけることは困難です。
地域区分 生物生息地名 特徴
南部田園地域 大岩地域ため池群
(反茂・沢渡・大沢)
反茂池と沢渡池は、住宅地の中に残る農業用のため池です。
大沢池は、豊橋総合動植物公園の中にあるため池で、噴水やベンチ、カモの飼育小屋があります。
池の中には、浅瀬がありヨシなどが生えています。冬はカモ類が集まります。
植田大池
植田大池は、住宅地の中に残る農業用のため池です。
池の中には、浅瀬がありヨシなどが群生し、夏にハスの花が咲きます。
夏にはトンボ類が見られ、冬にはカモ類が集まります。
天伯湿原
天伯湿原は、標高約76m、面積約0.14haで天伯原と呼ばれる台地にある小さな湿原です。
天伯山神社の湧水を水源とし、葦毛湿原に似た植生を見ることができます。
周囲は畑が広がる台地です。
天伯原は、元々が荒地で、天伯湿原のような小湿地がたくさんありましたが、戦後の開拓により住宅や田畑が増え、今では天伯湿原を残すのみです。
真田神社・杉山
杉山町内陸部の常緑広葉樹林は、南部地域では最も自然が豊かな森林であるといわれています。
真田神社は、杉山町の住宅地と水田地帯の間に位置する歴史のある神社で、境内には市域で唯一のシデコブシ群落があります。
七股池は周辺が雑木林となっており、様々な水鳥やトンボが生息しています。
地域区分 生物生息地名 特徴
表浜沿岸地域 細谷・小島
細谷・小島は、遠州灘沿いに浜名湖から渥美半島の伊良湖岬まで続く表浜(別名 片浜十三里)といわれる長大な海岸線の一部で、広い砂浜のある地域です。
砂浜の背後は、なだらかな台地状で海岸林が帯状に発達しています。
広く静かな砂浜にはアカウミガメが産卵のために上陸します。
小島の小判田川は、海岸沿いの台地を削り、谷を形成し太平洋に注いでいます。谷沿いには水田があります。
伊古部・高塚
伊古部・高塚は、遠州灘沿いに浜名湖から渥美半島の伊良湖岬まで続く表浜(別名 片浜十三里)といわれる長大な海岸線の一部です。
伊古部・高塚は、細谷に比べると砂浜の幅は狭いですが、砂浜の背後に崖(海食崖・かいしょくがい)があり、その上には海岸林が帯状に発達しています。
高塚付近では崖に砂がたまって砂丘となっているのを見ることができます。
地域区分 生物生息地名 特徴
三河湾沿岸地域 前芝海岸・佐奈川河口
前芝海岸は、豊川河口右岸の三河湾沿岸に広がる砂泥質の干潟です。
佐奈川の河口部にあるヨシ原周辺は、塩性湿地(潮の干満の影響を受けて、常に湿潤な状態となっている砂地や泥地)となっています。
六条潟・吉前海岸
豊川河口左岸の三河湾沿岸は、六条潟とよばれる広大な干潟・浅海域です。
吉前海岸には広い砂浜があります。
干潟には数多くの二枚貝が生息しており、吉崎海岸では巻貝やカニ類が数多く見られます。
神野新田町の沖合いには、アマモなど海草類の群落があります。
冬には、カモ類やカモメ類など数多くの水鳥を見ることができます。
神野新田
神野新田は、三河湾に面した広大な干拓地で、養魚池(跡)、遊水地、水田、畑が広がっています。
防潮堤防から遊水地を中心とした一帯は、特に自然度が高く、防潮堤防から海側の砂浜では海浜植物(かいひんしょくぶつ)が、内陸側の遊水地の岸辺には塩性湿地(潮の干満の影響を受けて、常に湿潤な状態となっている砂地や泥地)の植生があります。
神野新田一帯では、春から秋にかけてシギ・チドリ類やアジサシ類が、冬にはカモ類やカモメ類が数多く生息しています。
梅田川河口
梅田川は、本市の南部地域を東西に流れる河川で、船渡町付近で三河湾に注いでいます。
河口付近は、三河湾の潮の干満の影響を受ける汽水域で、干潮時には川の両岸に干潟が現れます。
国道259号線の植田橋より上流部にはヨシ原が広がっています。
境川河口
境川は、大清水町付近を源流とし、老津町、大崎町で三河湾に注ぐ小河川です。
河口付近の小さな干潟には、ヨシ原が形成され、塩性湿地(潮の干満の影響を受けて、常に湿潤な状態となっている砂地や泥地)に固有の植物が生育しています。
汐川干潟
汐川干潟は、三河湾の最深部で、田原町東部の汐川河口から豊橋市の杉山町地先にかけて広がる面積約280haの干潟です。満潮時にはほぼ全域が海になり、干潮時には澪筋(みおすじ)を除きほぼ全域が干潟になります。
カモ類をはじめとする渡り鳥の全国有数の生息地で、特にシギ・チドリ類は、種類数・個体数ともに豊富です。


生物生息地の記載内容については、以下の文献を参考にしました。

  • 小林元男,2001.愛知県地域別植物誌(1) 豊橋市の植物.
  • 奥田重俊,1997.生育環境別 日本野生植物館,小学館.
  • 叶内拓哉ほか,1998.山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥,山と渓谷社.
  • 藤原直子ほか,2002.三河湾汐川干潟の塩性湿地植生,豊橋市自然史博物館研究報告第12号.
  • 藤岡エリ子ほか,2002.三河湾奥部汐川干潟の1998年春期における底生動物層,豊橋市自然史博物館研究報告第10号.
  • 東三河野鳥同好会,1997-2002.機関誌「このはずく」.
  • 愛知県,1997.愛知県自然環境保全地域 吉祥山. 
  • 豊橋市,1999.豊橋市自然環境保全基礎調査報告書.
  • 豊橋市,2000. 豊橋の自然発見 豊橋市.
  • 豊橋市教育委員会,2000.葦毛湿原調査報告書.
  • 豊橋市自然歩道推進協議会,1994.豊橋自然歩道25年のあゆみと案内,ちぎり文庫.
  • 豊橋市・田原市,2003.汐川干潟保全検討調査報告書.
  • 愛知県,2001.レッドデータブックあいち 植物編.
  • 愛知県,2002.レッドデータブックあいち 動物編.


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